佐々木 希コメント
舞台に出演するのは2度目なので、とても緊張しています。今回お話をいただいた時は驚きました。でも、初舞台の時に、すごく緊張しながらも終わった後には、挑戦できて良かったなと思える経験ができたので、また挑戦したいという思いがどんどん湧いてきて、今回出演させていただくことを決めました。
黒澤明監督の作品は、これまでいくつか拝見していますが、どれも迫力があり、そして演じられている皆さんの存在感が強くカッコいいなという印象を持っています。
そして『醉いどれ天使』の映画も、黒澤監督のこだわりがたくさん詰まっているなと感じました。撮影された時期も、描かれている時代背景もずいぶん前ですが、今観てもおしゃれで、カッコいいなと思うところが、セットや音楽、演出のあちこちにあって。本当に素敵な作品だなと思います。
私が演じるぎんは、とにかくピュアな女性です。過去の怪我で足を悪くしていたり、辛さや悩みを抱えているにも関わらず、ひたすらに松永のことを想い、彼を何とか助けたいと考えている…そんな真っ直ぐさがパワフルでカッコいいなと思うので、私もエネルギッシュに演じられたらなと思っています。
松永も闇を抱えている人ですよね…。素直に思っていることを表に出せずに、すぐ人とぶつかってしまう不器用な松永は、人間らしいなと思います。そんなところに、ぎんは惹かれたのだろうなと思います。不器用で、葛藤しながらも頑張っている松永を見守る寛大な女性を演じたいですね。
ビジュアル撮影では、(スタッフさん達のおかげで)黒澤監督の映画のモノクロの世界に入るような感覚で、ぎんの気持ちにすっと入っていくことが出来ました。浴衣の襟元に巻物をするというアイデアや、後れ毛一本一本にもこだわっていたりと、衣裳もヘアメイクも丁寧に作っていただきました。生活感が出ていて、でも品や昔っぽさもあってと、その絶妙なバランスをスタッフさんと共に表現出来たのではないかと思います。実際の舞台もきっと、こんなふうに職人の方々の技が光るものになると思いますので、今から楽しみで仕方ありません。
今回の舞台版の脚本は、登場人物それぞれの会話が人間っぽくていいなと思っています。ぎんもそうで、松永の事を想っているけれど、素直に言えなくて自分の思いを隠してわざと強いことを言ってしまったり、ちょっと嫌味を言ってみたりと…そこがかわいいんです(笑)。
今回共演する皆さんとはまだお会いしていませんが、皆さんとのお芝居が楽しみですし、熱い方々だろうなと勝手にイメージを持っているので、その熱さに負けないように、私も一生懸命ついていこうと思っています。
演出の三池さんの作品は、どれも、人間のきれいな部分だけではなく奥深いところまで描いているなという印象があります。そういう人間くさい世界観にどっぷり染まれることが楽しみです。また、以前拝見した三池さん演出の舞台は、あっという間に感じる楽しいエンターテインメントだったので、今回も素晴らしいセットや音楽、アクションで楽しませてくださると思います。それを生で感じて会場が一体になれるのが舞台の魅力だと思うので、その感動を一緒に味わえたら嬉しいです。