はじめに
原作者:諸田玲子より
十返舎一九は謎だらけの人物です。
大酒飲みの奇行癖、結婚は4回、人気戯作者ながら死ぬまで借金に追われ、
「この世をばどりゃお暇(いとま)せん香の 煙と共に灰さようなら」と
とぼけた辞世をのこしています。
この一九の娘を主人公に、爛熟した文化期の江戸庶民の、
底抜けの明るさと七転び八起きのバイタリティーを皆様におとどけしたいと思い
『きりきり舞い』を書きました。
個性あふれる俳優さんたちが愛すべき奇人たちをどう演じてくださるか、
私もわくわくしております。
心ゆくまで江戸に遊んで日頃の憂さを晴らし、
明治座が皆様の元気な笑顔でいっぱいになりますように。