作品紹介
誰にも揚げられないことで名を馳せる、美貌の花魁・高尾太夫。実の名は緋鳥、“くノ一”である。
明るくさっぱりとした人柄から大勢の者に慕われるが、望まれずに生まれ、戦うために生きた過去に、緋鳥はぬぐい去れない孤独を抱えていた。
時を同じくして江戸幕府ではお家騒動が勃発。その背景に見え隠れするのは、かつて緋鳥を裏切った忍び集団、卍党であった。
自分の生きる場所は、戦いだけなのか―。
将軍家綱の一人娘・直姫、江戸市井に暮らす絵師・参次、お七を巻き込み、緋鳥の本当の戦いが、今始まろうとしていた。