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スペシャル

大好評!五木ひろしの松竹新喜劇が再び明治座にやってくる!!

「五木ひろし特別公演」制作発表レポート!

先日、都内において明治座2月「五木ひろし特別公演」制作発表が行われました。
たくさんの五木ひろしファンの方々が見守る中、2月公演に向けての意気込み、見所などを語りました。
さらに、2日~12日までスペシャルゲストとして第二部「スペシャル・ライブ」に出演する由紀さおりがサプライズで登場。制作発表だけのスペシャルバージョンで「夜明けのスキャット」をデュエットで息ぴったりに披露すると、会場からは大きな拍手が送られました。

五木ひろしインタビュー

2月公演に向けて『わが喜劇』を語る

2月公演では、昨年も好評を博した松竹新喜劇の作品の中から、「大当り 高津の富くじ」と「花ざくろ」の二本を、それぞれ昼の部、夜の部でお送りする(2月18日より昼夜入れ替え)。いずれも、昭和の喜劇王・藤山寛美の笑いあり、涙ありの代表作。また、二部の「スペシャル・ライブ」では由紀さおり、クミコ(途中で入れ替え)という今までにないゲストを迎えて大人のショーを、そして三部の「ビッグショー2012」では、五木ひろしの歌声をたっぷりとお送りする。

明治座創業140周年にふさわしい「華のある舞台」に、五木ひろしがどんな姿勢で臨むのか、を聴いた。

-松竹新喜劇と五木さんというのは意外な結びつきにも思いますが、藤山寛美さんのお芝居との出会いは?
子供の頃からテレビで観る松竹新喜劇が大好きで、長い間ファンの一人でした。その後、こうして「五木ひろし」として活動をさせていただく中で、藤山寛美さんの芝居を拝見し、お目にかかることができ、また、藤山さんも僕のステージを観に来てくださるという関係ができました。
憧れの大先輩とこうしたお付き合いをさせていただく中で、いずれは共演や僕の芝居を演出していただきたいという夢がありましたが、その夢は叶いませんでした。
-五木さんのイメージからすると、大阪弁の「松竹新喜劇」というのはいささかギャップがあるように思いましたが、前回公演(2010年10月)の芝居も、見事にはまりましたね。
出身が福井で、イントネーション的には近いものがありましたから、抵抗はなかったですね。ただ、改めて大阪のものを演じるに当たって、DVDを観たりしても、全く違和感がなかったんです。
こういう芝居の場合、台本に書かれているせりふだけではなくアドリブも必要ですから、「俄か仕立て」の方言ではアドリブができないんです。
ふだんの会話から自分が関西弁を使いこなすのはもちろんですし、テレビで大阪のドラマを見ていて、そこに不自然さがあった場合に感じる位に敏感になりましたね。
-「せりふ」として言うのではなく、行動や発想、動きがすべて関西に切り替わるんですね。
こうした名優の作品が、五木さんによって新たな魂を吹き込まれて蘇るのは嬉しいことですね。しかし、その中には常に藤山寛美さんの「存在」があるんでしょうね。
もちろんです。実際に初めて挑戦した時には、自分がやりたい気持ちと同時に、凄いことをやろうとしているんだ、という恐怖感もありました。藤山寛美さんの芝居をご覧になっているお客様がどう評価されるかというのはまさに「勝負」でしたし、初演の時は闘いでした。台本と寛美さんのDVDを見ると、ずいぶん違うんですよね。自分で工夫を重ねながら、自分の物にしました。
そのせいか、ある時、僕の中に藤山寛美さんが入って来てくださったような想いがあって、その時から役になり切れたんですよ。僕の中にはずっと藤山寛美さんがいらっしゃいました。ですから、今回演じるに当たっても、また初心に帰って、どう表現するか、何ができるのかを考えたいと思います。
先輩たちの唄を継承するのと同じことで、譜面を確認するのと同じような気持ちで、この作品を継承して行きたいですね。

-前回公演の舞台ではとても「誠実さ」を感じました。
それは嬉しいですね。僕は名作なり偉大な先輩が創られたものを演じる以上は、その気持ちを受け継ぐことからスタートしないと、全然違うものになってしまうと思うんです。
歌も同じで、メロディーがきちんとあるのに、それをいきなり崩してしまうのではなくて、譜面通りにしっかり歌うことがスタートで、自分なりに工夫をして崩すのは次の段階です。
まずは、先輩に忠実にやりたい。その上で、自分自身をどう出せるか、の工夫ですね。受け継ぐならしっかり受け継いで、次の世代につなげていかないと、という想いが強いですね。
-基礎ができているからこその「応用」なんですね。楽をすることもできるのに、あえてご自身に相当の苦労を課しているような気もします。
芝居でも唄でも楽器でも、そうしなきゃいけないと思って何十年も歩いて来ましたから。今おっしゃったように、楽をしようとすればできますけれど、そんな気持ちなら、やらなければいいんです。自分がここまで歩いて来たんだから、今、逃げてしまったら今までの苦労は何だったんだ、ということになってしまう。だから、今より一層誠実に、一所懸命やる気持ちは持ち続けたいと思っています。
今回も二本の芝居をやりますが、お客様に「両方観たいな」と思っていただけるような公演になればいいですね。やる方は大変ですけれど、お客様には昼も夜も二回楽しんでいただけることを考えれば、苦労だとは思いません。
-二部、三部はゲストと共に「スペシャル・ライブ」と「ビッグショー」という形で、由紀さおりさん、クミコさんという異色のゲストを迎えてのステージですね。
そうですね。エンターテイメントとして、少し幅を広げたステージを考えたいな、と思って由紀さん、クミコさんにお願いして、前半と後半に分けてご出演いただくことになったんです。
-盛りだくさんですね。
松竹新喜劇のお芝居を観て、由紀さんやクミコさんの歌を聴いていただいて、僕の歌も、という、それぞれのカラーが全く違う三部構成ですからね。芝居で笑って泣いて楽しんでいただいて、大人の歌を聴いていただいて。
-最後に、お客様に一言。
歌もお芝居も含めて、僕が幸せを感じる瞬間は、お客様との時間を共有することなんです。寒い時期ですが、ぜひ明治座へ足を運んでいただいて、楽しんでください。
2011年はいろいろなことがあった年ですが、音楽やお芝居の持つ力を感じていただけるような舞台を努めたいと思いますし、それをお届けするのが僕の責任だと思っています。

【インタビュー・構成】中村 義裕(演劇評論家)

【撮影】江川 誠志